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▼「終わらない冒険」 ▼「晴れた休日」 ▼「お気に入り」 ▼「おひなさま」 ▼「ラヴコォル」
▼「通行止」 ▼「のんびりのんき」 ▼「クローバー」 ▼「束の間の楽園」 ▼「春にとけて」
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▼終わらない冒険
星空の下、月が街を白く染める頃
風呂上がりの髪を乾かして
僕らは果てしない旅に出る
いつもの時間にいつもの場所で
いつものみんなが待っている
そしていつもの冒険がはじまるんだ
毎晩トラブルの連続さ
今日も誰かが悲鳴を上げている
でも誰も止めようなんて思わない
気心の知れた仲間がそこにいるからさ
何気ない会話でさえ時間を忘れさせてくれるね
そして世界中から集まった勇者達は
各々違った枠組みで物語を紡ぎ出している
この魔力に魅入られた者は
もう決して逃れる事は出来ないんだ
いつか世界を救ってもそれはただ一刻の幻
人の数だけの冒険がある限り
眠れない夜は続いて行く
▼晴れた休日
優しい光に目が覚める
時計は右を指している
どれだけ眠っていただろう
それすら分からないけれど
窓から流れる私を包む眼差しに
ゆっくりゆっくり溶けていく
夏の激しい暑さではなく
春の萌える陽気でもなく
秋の爽やかな日差しでもなく
冬だからこそ味わえるささやかな幸せ
目が覚めてもずっと潜っていたいんだ
至福の時が続く限り
あっと言う間に日が暮れて
結局一日家の中
▼お気に入り
いつもの曲が部屋を満たしてる
至福の時間が共に過ぎて行く
ああ、なんて心地良いんだろう
私の好きな曲は優しくてのんびりした曲
心の奥まで染み込むようなそんな曲
いくつもの歌を渡り歩き
いくつものステキな音楽と出会った
それらはいつまでも私と共にいて
決して飽きる事はない
音楽はすでに体の一部になっていて
だから毎日流れてる
耳を澄ますと心が広がっていくのが分かる
詞の宇宙に旅立ち冒険が始まる
何もない日常の音風景でさえ、気持ち次第で
それは立派なハーモニー
気が付けば、世界は音楽で包まれている
耳に刻んだ思い出を胸に今日も歩いて行こう
例え疲れてしまっても、あの曲が
僕を慰めてくれるから
▼おひなさま
小さい女の子のいる家では
もう準備は済んだのかな?
3月3日のひなまつり
女の子のお祭りさ
雛段飾って盛大に
いつもの部屋がまるで別世界
白酒飲んでいい気持ち
みんなのほっぺも桃の色
この日の為だけに出された人形達は
宴が終わるとまたすぐに収められていく
また来年、再来年、そして代々受け継がれ
ずっとずっと続いていくのだろう
気が付くと無くなっていた鯉のぼりとは
こりゃまたエラい違いだね
▼ラヴコォル
道端で日向ぼっこしている小さな天使
小さく丸くなってとても気持ちよさそう
ずっと眺めていても全然飽きないんだ
なんて愛らしい姿なんだろう
つぶらな瞳、ピンクの鼻
立派なヒゲにピン!と張った耳
柔らかい肉球に誇らしげなシッポ
極めつけはそのキュートな鳴き声さ
その歩く姿は気品さえ感じさせてくれるね
人に媚びず、自由に生きる気ままなアウトロー
僕は君に会う為にこの道を走ってるんだよ
だからその姿をどうか見せておくれ
触れようとするといつも逃げてしまう注意深い君
いつかもっと仲良くなりたいな
▼通行止
また道を掘り返してる
まったく日本の風物詩だね
今日も回り道だよ
本当にこの道を直さないといけないの?
ダメな所はもっと他にもあるハズなのに
ここは僕のお気に入りの道
だけどしばらく悲しい回り道
毎年毎年繰り返すんだ
本当もううんざりだよ
何とかどうにかならないの?
ぜめてまだ大丈夫な道はそのままにしておいて
危ない場所ほど手付かずで
いつも同じ場所ばかりいじくって
沢山直してもう気はすんだ?
でもきっと来年もほじくり返している気がするよ
ホラ、猫達もあきれて笑ってる
▼のんびり のんき
何気なく道を歩いてく
てくてく てくてく
色とりどりの花が咲いている
風で柔らかくゆれている
さわさわ さわさわ
小川がささやかに流れてる
キラキラ キラキラ
中を覗くと可愛らしいおたまじゃくし
ゆらゆら ゆらゆら
ああ、なんてのどかな昼下がり
いろんな発見が僕を楽しませてくれるよ
ただの散歩がこんなに楽しいなんて
こんな幸せな気分で
いつまでもいられたらいいな
▼クローバー
幸せ運ぶ4ツ葉のクローバー
僕も幼い頃は探したものさ
だけど中々見当たらない
後で聞いたら4ツ葉は突然変異なものらしい
レアだからこそ見つけられると幸せなのか
まるで昨今のカードゲームのよう
そんなある日、友達が穴場を教えてくれたんだ
成る程4ツ葉どころか5ツ葉6ツ葉も生えている
簡単に見つかると拍子抜けをするってもんさ
苦労と引換に手に入れた物程愛着がわくね
春の季語にクローバーってあったから
今頃それを思い出してみたりして
まだあの山の畦道にいけば見つかるだろうか?
幸福の4ツ葉のクローバー
いつか大事な人が出来たなら
また探しに行こうかな?
▼束の間の楽園
花が咲いた
宴の花が
今日は大騒ぎをする日と決めたのさ
仲間もみんな揃って眠れない夜を過ごすんだ
向こうでは向こうの世界
こっちではこっちの世界
共有している空間なのにみんなバラバラで
みんな花そっちのけで楽しんでる
愉快なお喋りが酒の肴さ
みんなの笑顔が夜空に木霊してるよ
楽しい時間はあっと言う間に過ぎるもの
ハラハラとそしてハラハラと
散っていく思い出のカケラたち
今年もスバラシイ景色をありがとう
また来年も気持ち良く咲いておくれ
少し寒い夜風に吹かれながら
僕は花吹雪の公園をあとにした
▼春にとけて
冬の服装がうっとおしくなって
桜の舞う道を風になって通り過ぎて行く
いちご大福を頬張ると
体中に春が染み込んでいく
鈴やかな風はあの坂を越えてやってくる
猫も気持ちよさそうに眠ってる
のどかに光る海に気を取られていると
いつの間にか猫達の恋の争奪戦
邪魔しちゃ悪いから僕はその場を後にする
田圃では蓮華が出迎えてくれていた
この花を見るだけで少年時代に戻れるのさ
あの無邪気だった頃から景色は随分変わったけれど
この春の催しはいつまでも続いていて欲しい
山では竹の子がにょっきり顔を出す
動き始めた生命の中でその力を分けてもらおう
さて、夕焼けカラスを見送るか
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