《 痕 》
『別居中だった親父が突然の事故で死んで早一ヶ月。
せめて四十九日の間くらいはと、長い大学の夏休みの終わり、
俺はかねてから予定していた旅行を取りやめ、田舎にある
親父の実家へと訪れた。
幼い頃に両親を亡くし、俺の親父に扶養されていた
従姉妹達も、悲しみに明け暮れていた日々に決別し、
徐々に明るい笑顔を取り戻しつつあった。
心に深い痕(きずあと)を残したまま、俺を優しく
迎え入れてくれる彼女たち。
だが事件は、そんな彼女達の心を冷たく非情に
引き裂いていった……』
上記文は、プロローグのようなものととっていただければよいかと。
ゲームのジャンルはサウンドノベルです。
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【ゲームストーリー】
主人公・耕一が上記したような事情で父親の実家――柏木家に滞在中、連続殺人事件
が発生します。それがどうも人外の存在、即ち鬼の仕業らしいのです。
もちろん警察にそんなことが分かるはずもなく、それに気付いたのは、柏木家の長女
にして若き家長の柏木千鶴ただ一人でした。
柏木家――古より伝わりし《鬼》の血を引く一族の男は、その力に目覚めてしまうと
人としての理性と心を失い鬼そのものと化してしまいます。
主人公・耕一の父親も実は事故死などではなくて、覚醒した鬼の力を制御できなくな
ってしまい、自分が扶養していた柏木家の四姉妹(千鶴たちのことです)にその力を向
けてしまうことを恐れ、車に乗って自殺を計り、この世を去ります。これが耕一の父親
の事故の真相でした。もっとも、このことが語られるのはゲーム後半、それも千鶴ルー
トを攻略しないと分からないのですが……。
で、なんだかんだで千鶴は連続殺人事件の犯人を、ついに鬼の力に目覚めてしまった
耕一の仕業と勘違いしてしまうのです。
マルチエンドのサウンドノベルですから、完全に鬼と化して人獣問わず殺戮を繰り返
すようになる前にと、千鶴に殺されてしまったり逆に本当に血が目覚めて暴走、千鶴を
殺してしまったりもするのですが、ハッピーエンドでは主人公が奇跡的に鬼の力を制御
することに成功し、プレイヤーが選んだ女の子と結ばれることが出来ます。
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【各キャラクター紹介】
★柏木耕一(かしわぎ こういち)
鬼の血を現代に残す柏木家の人間。(多分)都会の大学に通う二十歳の青年で、自身
の血については柏木家を訪れるまでは知らなかったようです。父親とは上記したように
別居していて、母親は……確かとっくの昔に死別していたと思います。つまり一人暮ら
ししていたみたいです。性格は、まぁギャルゲーの主人公らしくやや八方美人というか、
明るく優しく正義感が強く、何故か美形というわけでもないのに女の子にもてます(笑)。
★柏木千鶴(かしわぎちづる)
年齢は耕一より三つ上の二三歳。某国立大学を卒業したばかりという若さでありなが
らも、扶養してくれていた耕一の父親、つまり彼女の叔父が事故で亡くなったために必
然的に由緒ある柏木家の家長になってしまった。つややかな長い黒髪、優しい眼差し、
やや垂れ目がちな瞳は一〇人中九人が『美人』と評すでしょう。最後の一人はきっとホ
モです。
とても穏和な性格で、何故か凶悪なほど料理がヘタ。かつてキノコを使ったリゾット
を姉妹達に振る舞い、その時の惨事は後々までの語り種となったそうな……。
耕一の憧れの女性でもある彼女は、柏木の一族に流れる《鬼》の血について、恐らく
一番詳しく、無論その力も制御できる。(※)前世の記憶も完全に覚醒していると思われ
ます。
※前世については《柏木楓》の項を参照してください。
★柏木梓(かしわぎあずさ)
年は耕一より二つ下の十八歳。その可愛い顔は、確かに千鶴の妹と納得させるものが
あるが性格は似ても似つかずの正反対。勝ち気で負けず嫌い、責任感の強いしっかり者
で、曲がったことが大嫌い。正に竹を割ったような性格の持ち主……とまあ、ここまで
なら好感のもてる女の子といった感じなのだが、彼女の場合それに加え、短気、単純、
ひいては暴力的というマイナス三要素を持ち合わせているため、長所が相殺されてゼロ
以下になってしまうという不憫なコである。
とはいうものの、料理の腕は抜群だし時折年相応の女の子のような一面を見せたり、
ある場面では従順だったりと、可愛いらしい面もあったりします。
鬼の力を制御してはいるが、前世の記憶は覚醒しているのかどうか、プレイしたとき
の感じでは今一つ分かりませんでした。
★柏木楓(かしわぎかえで)
このあたり(柏木家はおそらく東北か関東に位置すると思うのですが……)ではちょ
っと名の知れた公立高校に通っている十六歳の女子高生。物静かな少女で、人と接する
のが苦手なのか、進んで自分から会話をするタイプではないようだ。おとなしく、控え
めではあるが、優しくて強い子でもある。口数も少な目。
前世において、鬼の一族の皇女であった彼女は人間の男と恋をしてしまう。それは一
族最大のタブーであった。実はその人間の男というのは鬼を討伐にやってきた侍だった
のだが、彼もまた鬼の娘に惚れてしまい、二人は相思相愛となる。
結局、二人は一族の掟により結ばれることはなく、悲劇的な別れを遂げることになる
のだが、現世においてついに巡り会う。
鬼の一族の皇女、それが楓の前世であり、その彼女に恋をした人間の男の転生した姿
が、本編の主人公、耕一なのである。
ちなみに上記した千鶴や梓も前世では鬼の一族の皇女です。
つまり前世でも彼女たちは姉妹だったのですね。
この鬼というのはどうも他天体からやってきた存在――異星人のようで、地球には人
間狩りをしにきて、その際宇宙船が故障してしまったため仕方なくこの地に根を下ろす
ことを決意したらしいです。
★柏木初音(かしわぎはつね)
十五歳の高校一年生。自宅から少し離れた私立の高校に通う。小学生と見紛うほど幼
い顔立ち(いや体つきか?)だが、やはり彼女も柏木家の女性だけあって、テレビのC
Mタレントとしても十二分に通用するほどの抜群の美少女。
ロリ系の人は萌え萌えらしいです(笑)。
くりくりとした大きな眼は、どちらかといえばつり目がちな梓より垂れ目がちな千鶴
似である。性格も千鶴寄りで、おっとり穏やか、優しく控えめ、加えてちょっと甘えん
坊……ってなんつー設定だ。でもほんとそんな感じの子です。
前世での記憶、つまり鬼の記憶と力については……私の昔のプレイしたときの記憶で
は、確か完全ではないけどうっすらと覚えていた――そんな感じでした。
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【舞台設定……のようなもの】
柏木家は隆山(たかやま)という地方で鶴来屋(つるぎや)という大きな旅館を経営
しており、地元では名家として知られています。千鶴は鶴来屋グループの若き会長で、
足立さんという先代(耕一の父親)の頃から仕えてくれている社長さんにサポートされ
ながら忙しい日々を送っているようです。
四姉妹はどういうわけか皆耕一に惚れています。楓は前世の記憶もあるからまぁいい
としても、他の三人にまで愛されているとは……こんなことあり得るんか。
で、耕一自身は……まぁマルチエンドのサウンドノベルですから、四姉妹それぞれと
結ばれるエンディングがあるのですが、このゲームの設定資料集などを見るとどうも千
鶴と結ばれるのが最良なようです。またその際は耕一は鬼の力の制御に成功しています。
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拙作《春風、乱れ舞う》は、鬼の力の制御に成功した耕一が再び隆山の従姉妹たちの元に遊びに来る、という設定となっております。特に誰とも深い仲にはなっておりません。
全体的にほんわか、だらだらとした感じでとりとめもない日常を綴っております。
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